「みんなのひろば」を開設した30年前、生活の中に携帯電話はなかった。
わからないことば、知りたい情報は、辞書で調べたり、本を読んだり、ブラウン管テレビを見たり、人に聞いて得ていた。
音楽を聴くのはカセットテープかCD。MDはすごく新しいものだった。
ビデオは「VHSとベーターのどっちを持っている?」という会話が当たり前。
お便りやプログラムはワープロで打って作っていた。
現在2017年、これらはすべて新しいものではなくなり、中には生活から消えてしまったものもある。
30年は長い?短い?
「音楽を通して、子どもも大人も集まる場にしたい」という思いで開設した音楽教室「みんなのひろば」。
幼いころから音楽が大好きで、大学でリトミックを専攻した私は、リトミックは幼児期だけのものではなく、乳児から大人まで、それぞれの目的でリトミックは生かすことができること学び、実践してきた。
音楽は身体の動きを通して表現すると、音楽の流れ、色彩、深みをより明確に感じる事ができる。自分自身を表現できる喜び、人と合わせて作り上げる楽しさ。リトミックは、一人では得られないさまざまな感覚が磨かれる。
30年前の教室と今の教室で、変わらないこと。
・幼児レッスンで最初に歌う「ゆうみせんせい」「ハーイ」のボールのお返事と、「あくしゅでこんにちは」
・グループレッスンで書いている一人一人を見つめるレッスンノート
・一年に一度開催する発表会
・演奏家をゲストに招くクリスマス会
・指導者は、リトミックのレッスンプランを毎回立てること
・指導は一方通行でなく、生徒から引き出すこと
便利になった今、欲しいものはお店に行かなくてもクリック一つで自宅に届き、見たいテレビは家族とチャンネル争いせず、一人でいつでもどこでも見ることができる。家の電話を家族で共有するのではなく、個人が所有する携帯電話。電話代を気にせず、気軽に連絡をとりあえるメールやライン。
便利は助かるし、ありがたい。
そんな便利さに慣れる中、時々考える。
「本当に大事にしたいもの、本当に大切なものはなんだろう?」
「いのち」
「心身の健康」
「物を粗末にしない」
「自分を素直にいきいきと表現できること」
音楽には年齢問わず、感情を動かす力がある。音楽によって勇気づけられ、癒され、心が洗われる。
子供も大人も共通である。
「目に見えない音楽の力」
私はこの力を使って、子供から大人まで、目に見えない手助けができたらと思っている。
まだまだ成長していきたい。
30年前と変わらない私がいる。